宮島 徹

ナノレベルの面粗さは、なぜ必要だったのか

PROシリーズの開発では、逆光時におけるハイライトからシャドー部までの階調性をより良くし、立体感や空気感を忠実に再現できるようにするため、フレアのさらなる低減がレンズ加工の大きな課題となりました。フレアの発生には、レンズ面間での反射、鏡枠の内面反射、レンズ内部での散乱など様々な要因があります。そのひとつが、「面粗さ」といわれる、レンズ表面のごく微量な凹凸です。ほんのわずかな凹凸があるだけで、光の角度がずれて散乱してしまい、本来届くべき画素に光が届かずに別の画素に不要光が入ってフレアとなり、悪影響を及ぼします。その面粗さの程度に対するフレアの影響度の関係性を定量的に分析しました。

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分析を行った結果、面粗さをナノレベルのある領域に抑えることにより、プロの要求にも応えられる「ヌケが良い」描写力を得られることが実証できたため、それを加工の目標値として開発を進めました。

ちなみに、ナノメートル=100万分の1ミリといってもなかなか伝わらないかと思いますが、わかりやすくいうなら、レンズ※の直径が3キロまで大きくなったとして、その上に落ちている髪の毛1本レベルの凹凸が無くなるまで磨き上げる作業になります。

※「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」の前玉の場合

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長年のノウハウを集積した高度な
レンズ加工技術

フレアという現象はカメラ用レンズに限った話ではなく、内視鏡や顕微鏡にも共通する課題であり、オリンパスでは長年にわたって全社レベルでその低減に対する取り組みを行ってきました。内視鏡や顕微鏡についても、それを扱うお医者様や研究者から求められるレベルは非常に高く、そのニーズに応えるため、常に高い技術レベルを目指してフレアの研究をしっかりとやっています。それら複数の分野で培ってきた知見をカメラ用レンズの製造にも活かし、ナノレベルの面粗さ低減を実現することができました。

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03.「球面レンズ」と「非球面レンズ」、それぞれの頂点を目指して03.「球面レンズ」と「非球面レンズ」、それぞれの頂点を目指して